私たちは次世代にどれくらいの選択肢を残せるか？

東北地方の豊かな自然は、芽吹きの春から深雪の冬まで四季の移ろいを色濃く映し出します。それは時に優しく、人々に恩恵をもたらすこともあれば、厳しく積雪による重労働を強いることもあります。ただ、それだけ変化に富む自然であるからこそ、多様性が育まれるのでしょう。その中で人々と野生動物が暮らし、両者はこれまでに様々なバランスを保ってきました。現在は動物側に分がある状態ですが、きっとこの時代の折り合いが見つかるはずです。

野生動物は時として人間生活に多大なダメージを与えることもありますが、一方で様々なものを人は彼らから享受します。それはジビエや工芸品といった物質的なものもあれば、目に見えない感動や教育を施しれくれることもあります。例えば、子供が初めて動物を見た瞬間に何を感じたのか、それは子どもの言葉でも大人の言葉でも、言い表すことが難しいでしょう。だからせめて私たちは、次世代に野生動物を見せてあげられるような環境を維持していかなければなりません。

弊社は、｢継続｣、｢経験｣、｢景観｣という3つの力を大切にしながら、野生動物を継続して観察し、調査研究を通して地域を支援し、これまでの実績とこれからの経験を糧として、壁にぶつかったときには東北の自然景観に問うて、原点に戻りながら乗り越えていきたいと思います。

そこに暮らす人々と野生動物の関係が良好であることを。

2023年5月1日

合同会社東北野生動物保護管理センター
代表社員　宇野　壮春