エッセイ
第五話 野生のうたが聴こえてる

セミの声は今も私を引き付ける。幼少の頃から親しんできたせいだろう。 夏場、体力的なこともあってフィールドワーク(野外調査)にあまり出なくなった一昨年(2015年)から、とくに意図があったわけではなく、セミの種類ごとに、い […]

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エッセイ
第四話 里と奥山を結ぶ

自然が仕掛けた謎に挑んで、その醍醐味を味わうと、往々にして自然は、関連する謎を追い討ちをかけるように仕掛けてくるものだ。 1.驚くようなニュース 昨年(2016年)2月、石川県白山地域でのサルのセンサス(群れの数と群れご […]

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エッセイ
第三話 謎解きの面白さ

自然に身を置いていると、いつのときも唐突に謎を仕掛けてくる。それに乗って、直感を働かせ、ああだこうだと類推し、想像を逞しくしながら、正解に挑む。この謎解きの醍醐味を味わったら、フィールドワークは間違いなく病み付きになる。 […]

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エッセイ
第二話 生命の営みとは

自然の中での生命〈いのち〉の営みとは、どのようなものなのだろう。 二年前の冬のことだ。雪国の人っ子ひとりいない山奥の細い林道を、朝からサルを探して歩いていた。林道に積もった雪は割りと締まっていて、かんじきをつけないで済む […]

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エッセイ
第一話 野生とは

野生とは何なのだろう。 ニホンザルのような知能の発達した動物では、置かれた状況で、人に対する態度がずいぶんと異なる。 戦後のしばらくは、全国どこのサルも、長いあいだ人に痛めつけられてきた歴史の重圧を背負って、警戒心がとて […]

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